こんにちは。コーヒー大好き スリムパンダ(@scan1001)です。
コーヒー農園と聞くと、多くの方が海外の各国をイメージするかと思います。
- アメリカ大陸周辺:ブラジル・コロンビア・ペルー・グアテマラ等
- アフリカ・アジア:ベトナム・エチオピア等
実は日本でもコーヒーの木を栽培している(できる)地域があります。
それはなんと沖縄です。
コーヒーベルトと呼ばれる赤道付近の温かい地域でしかコーヒーの木は育てることができませんが、沖縄はそのコーヒーベルトの最北限にあたる地域でギリギリ栽培が可能な地域にあたるようです。
そんな沖縄でコーヒー農園の見学・体験ができるということで、さっそく申し込みをして一人で体験してきたのでご紹介したいと思います。
コーヒー農園見学
沖縄コーヒーアイランドさんのサイトより申し込みを行う。
実は沖縄でコーヒー農園の見学・体験ができるところは探すとけっこうあります。
ただ、体験を受けるまでの費用はまちまちで今回はリーズナブルに提供してくださっている「沖縄コーヒーアイランドさん」HPより申し込みを行いました。
場所:大宜味村のコーヒー園(石山展望台近く)
料金:1500円/ひとり
所要時間:約90分
人数:1名様からOK
・農園内の見学
・コーヒーになるまでの過程体験(脱穀・焙煎・ドリップ)
・ドリップしたコーヒーを堪能しながら農園主との会話
※希望者のみコーヒー苗木の植樹体験も可能のようです。
待ち合わせ場所は石山展望台(大宜味村)にて。
農園見学・体験当日、待ち合わせ場所は石山展望台(大宜味村)。
沖縄県民ですが、石山展望台(大宜味村)は訪れたことがありませんでした。
それもそのはず進めど進めど一向に目的地にたどり着く気配がなく、不安になってしまうほど奥深くに進んでいくのです。
農園内を探索
無事、石山展望台にて農園主のAさんと合流。さっそく農園を案内していただきました。
Aさんは元々農業をしたことがなく、2014年頃から独学でコーヒーの栽培を勉強しはじめていたとのことで5年目となる2019年はようやく軌道に乗ってきたとおっしゃっていました。
敷地面積はおおよそ2500坪。従業員は雇っておらず農園の維持はすべてお一人でされています。ご年齢はなんと70代前半。
農園の構成は広大な土地の中をブロック単位で防風林が囲むような形で構成されていて、ブロック区画を横断するように見学していきました。
ここでふと気づいたのが、期待していたコーヒーチェリー(赤い美)があまりなっていないこと。
質問してみると、防風林の効果むなしく2018年に上陸した台風の被害でコーヒーの木が折れたり、ケアをしているとのこと。Aさんのケアもあって、少しずつ回復をみせている木では少量ながらも赤い実がなっていました。
転んでもただではおきないAさん。試行錯誤を続けながらコーヒーの木がよく育つよう人並み以上に愛情を注がれています。
- 肥料のオリジナルブレンド
- 添え木の種類
- 荒れた土地の整地
- 無農薬にこだわった害虫対策(木酢)
- 見学者が楽しめる環境作り
喜んでいる顔がみたくて、そして愛情を注いだ分反応を見せてくれるコーヒーの木のために尽力される姿・言葉には思わずじーんときてしまいました。
Aさんの農園ではブラジル系・ハワイ系など、複数の苗を調達して栽培をされているようでした。そして、今日本人に合う豆を模索しており黄色に熟すコーヒーの木を今後増やしていきたいと話されていました。
今回の見学では黄色の豆に出会うことができなかったのですが、収穫時期に出会いたいものです。そういえば、かろうじて収穫できたコーヒーチェリーを食すことができましたよ。
気になるお味はというと甘い!!
コーヒーの風味などはまったくなく完全に果実です。中にみえている白っぽいタネがコーヒー豆。一つの粒から色々な飲食物が生まれてくるってすごいですね。
Aさんはこの甘い果実部もゆくゆくはゼリーやアイスなどとして作っていきたいと語られていました。
コーヒーが大人だけでなく、子どもも楽しめる日がやってきそうで楽しみです。
焙煎体験
農園見学を終えると次はお待ちかねの焙煎体験です。個人的には一番ここが楽しみなりませんでした。さっそく学んでいきましょう。
1.果実を取り除く
まずはこの手回しで稼働させる機器の説明。ここで先ほど味わった果実部の赤い身が剥がされることになります。
収穫した量も少なかったので今回は説明だけでしたが、実際に行うときには写真の緑の入れ物に水を溜めて果実部が剥がれた実を選別されるようです。
脱穀機、と認識していたのですが後の工程に脱穀があるのでここは「果実除去機」といった表現が正しいのかもしれません。
2.乾燥させる
綺麗に果実部が剥がされた実はしばらく乾燥をさせます。この工程を経てパーチメントコーヒーという状態になるそうです。
ぼくの理解ではこの乾燥させた状態がいわゆる「生豆」と思っていたのですが、実はまだ次の工程がありました。
3.脱穀
冷蔵庫のような場所に保管されていたパーチメントコーヒーを脱穀機(精米機)にかけて、皮をはいでいきます。
剥がれきっていない豆はドライヤーで飛ばしていきます。
この工程を終えるとはじめて「生豆」となるのですね。ようやく一般家庭でも見られる状態になってきました。
4.ハンドピック(欠点豆の除去)
ここでハンドピックと呼ばれる欠点豆を取り除く工程へ。
仕分け方がわかりませんでしたが、いくつか割れがある豆を除去します。
欠点豆を除去せずに通常の豆と混じってしまうと、ドリップ時に嫌な味が抽出されてしまうとのこと。
地味な作業ですが美味しいコーヒーを飲むためには欠かせない工程ですね。
5.焙煎
いよいよ焙煎工程へ。使う器具は直火式手回し焙煎機。焙煎機は購入されたもの、引っ掛ける木材はAさんの自作でした。
元々購入された焙煎機に軸を受ける部材も付属していたようなのですが、加熱されるとうまく回転できなくなったようで自作に踏み切ったとのことです。
DIY力って大事。自分はまた違う焙煎機を購入してしまいそうです。
焙煎の前に豆の水分のお話。
通常店舗におろされるときには豆に含まれる水分量は9%〜11%前後。今回利用する豆は収穫後保管されていた豆で、約13%。
Aさんの指導のもと、8分ほどは弱火で水分を蒸発させその後火力を調整して焙煎を行うことになりました。
手持ちのスマホをタイマーがわりにしていたため、写真がとれなかったのですがおおよそ焙煎してから11分ほどでパチパチと音が出始め(1ハゼ)、14分を経過するぐらいにチリチリと細かな音が出始めました(2ハゼ)。
味の好みを聞かれたので深煎りと即答。深煎りに近くなるよう2ハゼの音を聞きつつ網の外観で豆の色を判断して、フィニッシュ。余熱で煎りが進まないよう手回しは止めずにドライヤーで冷却。
豆の冷却も怠ると焙煎の仕上がりに関わってくるので、手早い作業が必要となります。
そして焙煎が完了したコーヒー豆。
素人の自分がいうのもなんですがすごく綺麗。焼きムラがなくできた焙煎にめちゃめちゃ感動です。
この時、直火式の焙煎機を買う決断をしたのはいうまでもありません。(後日別記事でレポート予定)
6.豆を挽く
カリタ(だったかな?)のコーヒーミルで焙煎した豆を挽きます。
挽きの荒さ調節はしませんでしたが、おそらくAさんの方で細かさは設定されているものとしてあまり気にしませんでした。
用意されていたコーヒーミルは重厚感のある器具でとても挽きやすかったです。今使っているコーヒーミルの2台目として買おうか迷いました(買ったら妻に怒られるだろうな、と即断念)
挽き終わったコーヒー豆です。中細挽きというのかな??ここをちゃんと見分けられるようになりたい。
7.ドリップ
挽いた豆をペーパーフィルターにセットして、ハンドドリップです。
かなり久々のハンドドリップでしたが、はじめの一投目で約30秒ほど蒸らして観察すると、コーヒーの粉がもこっと綺麗に膨らんで感動しました。自宅では粉が膨らむ経験をしたことがなく、何の違いがあるのか不思議でなりませんでした。
(あまりの感動に写真を撮り忘れました。。)
コーヒー農家の現状
冒頭でもちょこっと触れたのですが、コーヒー農園と聞くと国外の地域で主に栽培されていることはみなさんイメージができるかと思います。
現地で栽培されてからぼく達の手元に届くまでに色々な経費がかかってくるわけですが、それでも1杯100円から300円前後で美味しいコーヒーを飲むことができています。
逆算して考えると、海外の農園主さん達ってほぼ利益ってないのでは。。?と容易に想像できます。そんな中見かけたのがこのツイート。
先週組合にコーヒー豆を売りに行った時、1kg200円で買い取られました。(400円のコーヒー1杯に使う豆は10g)
いい豆を作りたくても、その為の肥料を買ったり設備を整えたりする資金がない。うちを含めコーヒー農家はみんな常に赤字で貧乏生活です。
この現実を消費国に知ってほしい。 https://t.co/rLwP7odqN6— あやか??コロンビアのコーヒー農家 (@maon_maon_maon) 2019年5月12日
まさに二束三文の状態です。
生産される工程を実際に体験すると、1杯のコーヒーの価値がどれだけ安いのか知ることができます。美味しいコーヒーを飲むためにはまず、生産者が安定して栽培できる制度があってもよいのではないかなと個人的に感じますね。
Aさんの農園にも買い付け業者が時折訪れるそうなのですが、あまりに安すぎる提示価格にずっと断り続けているそう。
【沖縄コーヒー農園】今後の展望
今回お邪魔したコーヒー農園以外にも沖縄県北部を中心として多くの農園が存在します。
多くのコーヒー農園で見学や体験ができるものの1回あたりの体験料金が高いことがネック。Aさんは多くの人に知ってもらいたい、楽しんでもらいたいという思いから低価格で農園見学を受け入れているとのこと。
「一人一人との会話を楽しみ、家族と喜んでいる姿をみると励みにもなるしコーヒーの木を育てる楽しみにもなる」
Aさんと会話していて感じたのは、心の底からコーヒーの木を好きであること。自身が試行錯誤して学んだ栽培技術は、本気で学びたい人がいれば惜しみなく提供するし協力して沖縄全体のコーヒー生産に寄与していきたいとのことだった。
ただ楽しいことばかりだけでなく課題ももちろん存在しています。
- 農園のインフラ整備
- 豆の品質を一定に保つための手法確率
- 消費者へ提供するための価格設定
日に日に課題も解決され少しずつよくなっているようなので今後もAさんと、そして関係者と繋がっていきたいなと思う。
【沖縄コーヒー農園】まとめ
普段意識することのないコーヒー豆の生産の現場をみていきました。「百聞は一見に如かず」、ますますコーヒーを好きになる要素がたっぷりとそこにはありました。
小さなお子様を連れてもOKとのことなので、ぜひ一度足を運んでコーヒーの木の栽培の様子を見てみてはどうでしょうか。
・農園では見学・体験(焙煎等)が可能。
・見学・体験は農園によって価格設定がまちまち。